中小企業の資金調達について

なぜ、中小企業は大企業に比べて資金調達が難しいのでしょうか?この問題を考えるにあたって、まず、中小企業の資金調達の手段を見てみたいと思います。財務省の企業統計年報によると、中小企業と大企業の資金調達構造の違いが示されている。
2005年の中小企業の自己資本比率は27.3%でしたが、負債比率は40.7%と高く、金融機関の融資に対して脆弱な資金調達構造になっています。一方、大企業は以前は負債比率が高かったが、現在は自己資本比率(36.1%)が負債比率(23.5%)を上回っている。社債の比率(5.8%)も、大企業が中小企業(1.1%)より高い。

大企業が様々な資金調達手段を用いるのに対し、中小企業は資金調達に借入金(間接金融)に大きく依存している。これは、中小企業が株式や社債の発行など、市場で直接資金を調達する手段(直接金融)を持っていないためである。
その理由は、中小企業が直接融資を受けることが困難なためです。直接金融では、不特定多数の投資家が資金源となるが、配当や利息、利益を期待して投資するため、企業の選別や投資家が利益を期待しない限り、直接金融による資金調達は困難である。また、直接金融は、企業の財務開示書類の作成や新規株式公開のための専門知識や人材が必要であり、中小企業には手が出せず、直接金融による資金調達ができる企業は限られているのが現状です。近年、マザーズやヘラクレスなどの新市場が誕生し、中小企業の資金調達環境は改善されてきましたが、直接金融で資金調達できる中小企業はまだ少数派です。
しかし、直接的に資金調達ができなくても、間接金融で容易に資金調達ができれば問題ないはずだ。しかし、現実には、中小企業は間接金融でも資金調達が困難な状況です。

その理由のひとつは、貸し手の「スケールメリット」だろう。一般に、銀行が貸し出す信用量が多ければ多いほど、ローンの鑑定費用など単位信用量当たりのコストは低くなる。例えば、貸金業者にとって、10億円の融資の鑑定費用は、1千万円の融資の鑑定費用の1/100に過ぎないのである。その結果、貸し手は1件当たりの融資額が高い借り手、つまり大企業を優先する傾向がある。中小企業の資金調達が困難な理由の第二は、「情報の非対称性」の問題である。つまり、貸し手(金融機関)が借り手(中小企業)と同じレベルの情報を持つことは難しいのです。大企業の場合、企業情報を広く開示しているため、金融機関が与信を行う際に情報を入手しやすく、会社法上の会計監査が義務付けられているため、財務内容の把握が比較的容易であることなどが挙げられる。しかし、一般に中小企業は企業情報をほとんど開示せず、財務記録を残していない企業もあるため、その状況は不透明でリスクが高いと思われがちです。

情報の非対称性の問題を克服するためには、中小企業自身が企業情報を開示する努力をする必要がある。また、2006年会社法で導入された会計参与制度を活用するなどして、財務諸表の信頼性を向上させる必要があります。また、中小企業にとっては、現地の金融機関と長期的な関係を築き、中小企業の情報を収集することが重要でしょう。

第三に、担保の問題である。金融機関は、情報の非対称性が強く債務者の情報が得られない場合や、将来の事業展開が不確実であると判断した場合に、リスクをカバーするために担保を要求します。中小企業が金融機関から借入を行う際、不動産を担保に入れることが一般的です。しかし、多くの中小企業は十分な不動産を持っていません。また、担保となる不動産があったとしても、特に地方では地価の下落が続いており、中小企業が十分な資金を調達することは困難な状況です。に比べて、中小企業向け融資は相対的に低いのが実情です。

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